30歳ニート、ワルアガキをしてみる

崖 っ ぷ ち ダ メ 男 の ホ ン ト の と こ ろ

作り上げられた幸せ。それはまさに3年前の僕だった、、、

ということで今回は【紙の月】を観賞

原作とは少し内容が変わっている本作、しかしその完成度への評価は非常に高い。

この映画を見て、僕の頭の中はもう3年前にタイムスリップしていた。

自己紹介にも記載しましたが、僕は自分のお店の売上に毎日毎日手を染めていました。

その時の心情といっては、まさにこの映画の主人公、宮沢りえが演じる【梨花】そのもの。

悪いことをしているのは重々承知なのに、頭の中で自分に言い訳を繰り返し、また犯してしまう。

人間というものは怖い生き物で、次第にそれがエスカレートし、習慣になり、犯している罪の重さも忘れていくのです。

僕もそうでした、その日の売上に毎日毎日手を染める、次第にそれがレジ閉め作業の一貫になっていました。

そしてそれをだんだんと正当化していく自分がいたんです。

 

本作のクライマックスに、キーマンの【隅さん】を演じている小林聡美がこんなセリフを言っています。

 

『お金はただの紙よ、だからお金では自由になれない。』

 

その通りだと思いました。

当時の僕の唯一の上司であるグループ会長から始めに教わったのがまさにこれでした。

 

『いいか、お前が毎日触っているその一万円札はただの紙だぞ。お金じゃない。その紙は本当にいろんなことができる。お前がいままで頭の中で想像しかしたことがなかったこともその紙があれば現実にできる。でもな、いいか、お前が頑張って結果を出し、最終的にお前の財布に入ってくるもの、それがお金だ。それを大事に使え、そしてお前の女を幸せにしてやれ。』

 

それをあんなに簡単に忘れてしまった自分が、改めて情けなくなりました。

 

毎朝のニュースで流れる汚職や横領の事件があります、この映画を見た人はもう他人事ではないと改めて感じるでしょう。

普段聞き流していた世の中の状況も、自分にも十分にあり得るんだということを今一度考えさせられる作品でした。

 

鑑賞後ひとこと

人には越えてみたい壁がそれぞれ存在する、ただそれを越えるために悪事を犯したのであれば、それは本当の壁の向こう側ではない。

 

そんなふうに思わせられる作品だった。

 

作品情報

銀行勤めの平凡な主婦が引き起こした大金横領事件のてん末を描いた、『八日目の蝉』の原作などで知られる直木賞作家・角田光代の長編小説を映画化。まっと うな人生を歩んでいた主婦が若い男性との出会いをきっかけに運命を狂わせ、矛盾と葛藤を抱えながら犯罪に手を染めていく。監督は、『桐島、部活やめるって よ』などの吉田大八。年下の恋人との快楽におぼれ転落していくヒロインの心の闇を、宮沢りえが体現する。